☤とある狂信者の雑記帳(ダイアリー)☤

悪ポケ使いを名乗る、とある狂信者が悪ポケやそれらに関係する事を紹介・考察するブログ。 ただし、たまに違う事を喋るかもしれない。また、更新頻度は不定期。

小説  邂逅

緑溢れるポケットモンスターの世界

とある地方、鬱蒼と茂る森にて

黙々と歩みを進める男の話だ

私の名はナギ•ロザリオ
秘密結社"パラケルススの杖"
サ•ヌーン教団元四位、悪ポケ使いPackこと、パッカーヤードの手によって結成された組織の一構成員・・・
だったが、今は訳あって
首領に代わり代理のボスしている。
何時もの様に表の顔である貿易会社社長しての業務をこなし、我が"組織"のアジトへと向かうところだ
組織のアジトは、この森の奥にある打ち捨てられた小さな小屋の地下にある。
日が傾きつつある中、私は森の中を進む

——ガサッ

何の音だ?
辺りを見渡すが
特にこれといって音の原因はわからない

風か?
はたまた、野生のポケモンか?
どちらにしろ、さほど気にするような事では無いか
無視して歩を進める

——ガサッ

——ドサッ!

何かが倒れ込むような音がした

何かいる
それもそれなりのサイズの何かが
無視しても良いがそれなりにアジトに近い
万が一我々に敵対する者であったならば、早急に対処する必要がある

正直面倒だが見に行くか

そうして、何本かの木や下草を抜けた先に音の正体はあった

「っ!?」

人が1人倒れていた
長い青い髪は乱れ
黒染めのコートはところどころが破れ
血にまみれた、傷だらけの若い男
微かに息遣いが聞こえるあたり、生きてはいるようだ

「大丈夫ですか!?」

咄嗟に声をかける

確かに私は自らを"悪党"と名乗っている
が、別に快楽殺人鬼等と言うわけではない
故に、むやみやたらと人やポケモンを殺めたりはしないし、するつもりもない
人として死にかけた人間を見捨てる事はない

「うッ、ぐッ...!」

声に反応して男が呻くと、ゆっくりとこちらに視線を向けてくる

「大丈夫ですか?」

私は再び声をかけた

「...人か。すまない...ここはどこだ?」

男はそのまま身を起こし辺りを見回す

「これほどの木々があるなら、“都市”か。
まずいな、どれ程寝ていたんだか...」

ぶつぶつと呟く男に返す言葉を迷う
少し不穏な気配を感じるのだ

こちらを改めて見た男がふと、腰に視線を向ける

ボールをその目に捉え...

「ッ!!」

いきなり物凄い形相でこちらを睨んだかと思うとそのボロボロの状態からは考えられない速度で地を蹴り、私から距離を取る

「貴様」

「旧式...ではあるがそのボール...!
“トレーナー”だな!!」

は? トレーナー?
確かにトレーナーだがそれは皆とて同じだろう
逆に、そうでない者の方が珍しい

「えぇ、確かにただの通りすがりのトレーナーですが」

「チッ...!
親しげに近付きやがって...
ボールを隠さなかったのは失敗だったな!」

男はそう吐き捨てると
腰に手を伸ばし、取り出したのは、見たこともない黒のモンスターボール

「奴を殺せ、カラドボルグ!」

「カロジェナ!」

反射的にこちらもボールを投げ、ブラッキーを繰り出すと向こうのボールからはキリキザンが現れる

青と黒のボディが
日に照らされ、鈍く輝く
どうやら、色違いのようだ

「次はもっと上手く取り繕うんだな。
最も、次など無いが。殺せ!」

全く以て、訳が解らない
何故急に命を狙われるのやら
が、男から発される殺気は尋常のものではない
抵抗せねば、殺される

「カロジェナ!受け止めて下さい!」

私のカロジェナは一般的なブラッキーとは違いアタッカーの役割を持つ
"呪い"によって、足を殺す代わりに攻撃力と防御力を上昇させる。
そして、その殺した足を逆手にとり
"しっぺ返し"と呼ばれる、相手よりも後に行動すれば威力が増す技を使い攻める

とはいえ、耐久にも自信がある
キリキザン程度の攻撃なら受け止められるだろう

こちらもやり合うつもりはない
まずは話をせねば

「馬鹿が」

「っ!?」

キリキザンの刃を硬化させた尾で受け止めたカロジェナが軋む尾に悲鳴をあげる

「戻れ!カロジェナ!」

異様な光景に、思わずカロジェナをボールに避難させる

と、

「うおっ!?」

前方で振り切られたキリキザンの腕の風圧で耐性を崩し、かなり後方で尻餅をついた

「なっ.......!?」

痛む腰を尻目に、再び前方を見て思わず驚愕の叫びが漏れる

何故なら、
カラドボルグと呼ばれたキリキザンが腕を地に刺し、周辺一帯が小規模なクレーター並みに抉れた光景が広がっていたからだ

「はっ!迎え撃て、ガンビー...」

——ドンッ

「ぐっ!?」

我に返り、腰から抜いたボールを投げようとした瞬間乾いた音と同時にボールに衝撃が奔り、思わず離した手から転がっていく

聴き慣れた音だった

転がるボールからは煙が昇り青白いスパークが迸っている

青い顔で視線を前に向けると、男の手に握られた鈍い銀色の拳銃から煙が昇っていた

「殺せ」

抑揚のない一声に、キリキザンが刃を構える

正直、身体能力には自信がない
が、そうも言ってはいられない
避けられなければ死ぬ

——ゴオッ!

「ぐっ!!」

何とか身を捻り、直撃を回避する

が、すぐ横を通った刃からとてつもない風を感じると同時に身体が宙に浮く

浮遊感を味わいながら数メートル程吹き飛ばされ、転がって泥と枝に塗れる

何とか起き上がった時には、地から刃を抜いたキリキザンがこちらを睨んでいた

「今だ、スクアーロ!」

「....!」

吹き飛ばされる寸前、投げておいたボールから飛び出したサメハダーが牙を剥き、キリキザンに喰らい付く

僅かな時間、牙と刃が交錯しすぐに振り払われる

「切り裂け」

「“まもる”!」

——ガチン!

横凪に振われた刃を、サメハダーの前に展開された青白い障壁が受け止める

「!?...スクアーロ!」

——ドガアァァン!

暫く拮抗していたが、刃が勢いを失い...

と、急に勢いを取り戻したキリキザンが、腕を振り払うように障壁ごとサメハダーを押し出し
吹き飛んだサメハダーが巨岩に激突する

粉々に吹き飛んだ岩片を見て、思わずサメハダーの方へ駆け寄る

「スクアーロ!大丈夫ですか!?」

サメハダーはある程度傷付いてはいたが、まだ戦えるようだった

「まだいけますね...やって下さい、スクアーロ」

振り返ると、丁度近くまで男がやって来ていた

「まだやるのか。殺れ」

再びキリキザンが刃を構え、突貫してくる

「かわして“インファイト”!」

「...む」

先程より遥かに上がった速度で軽々と刃を掻い潜り、背後から猛攻を仕掛けるサメハダー

「加速か。下らん手を」

我が化鮫(スクアーロ)は命の珠を持たせた強力なアタッカー
加速と合わせれば、止められる者無き無双の力を見せつける

「何を遊んでいる。潰せ、カラドボルグ」

サメハダーの猛攻を腕の刃で凌いでいたキリキザンが、声に反応して動きを変える

「なっ...!!“こらえる”!」

明らかに動きの良くなったキリキザンは牙を軽くいなし、反撃の刃をサメハダーに叩き込む

“まもる”を発動する暇もない一撃に、咄嗟にその技を指示した

——ゴオッ!

何とか耐え切ったサメハダーだが、そのまま打ち上げられて遥か上空まで飛ばされた

「スクアーロ!?」

「終わりだ、“追い討ち”」

——ドッ!

凄まじい風圧に思わず腕で顔を庇い、再び上げるとキリキザンが消えていた

残されたクレーターを見て先程の言葉を理解し急いで上を見上げて叫ぶ

「“まもる”だ!スクアーロ!!」

遥か上空で指示を聞き逃さなかったサメハダーは障壁を貼り、跳躍して来るキリキザンの刃を防ぐ

強すぎる衝撃を回転して受け流し、完全に凌ぎ切ったサメハダーを尻目に、勢いの止まらないキリキザンはそのまま上へ跳んでいく

「切り下ろせ」

聞こえる筈もない小さな呟きの後、
落下してきたキリキザンの一撃を喰らい、地に叩き付けられるサメハダー

———ドコオオォォッ!!

「スクアーロ!!」

思わず駆け出しそうになったが、踏みとどまる

このまま駆け出せば、無防備になる
先程は仕掛けて来なかったがスクアーロがやられた今は絶好の好機だ

ボールを構え、男の方を確認する

「まだ続けるつもりか?大人しく死ね」

——ドン

小さなクレーターを作りながら、キリキザンが降り立つ

傷一つ無い

とんだ化け物のようだ

「む...?」

と、男の全身を青白いスパークのようなものが迸る

次第に稲妻は右目に集まっていき、男が目を見開くと青白い炎のような眼光が尾を引いて辺りを照らす

「!?」

まるで意味が解らんぞ!?
突然の現象に理解の限界が近付き、思わず頭を抑える

と、

「ッ!カラドボルグ!!」

——ゴッ!

一陣の風が吹き抜ける

私ですら把握していなかったが、先程の一撃をスクアーロは私を悲しませまいと持ち堪えたらしい
そして反撃に出た訳だ

...しかし
何故、今の奇襲に気付いた...!?

「カラドボルグ、ソイツを生かすな!」

最大限の加速をエネルギーに、嵐のような全方位攻撃を仕掛けるサメハダー
対するキリキザンはそれを受け流すのが精一杯なようだった

「畳みかけなさい!スクアーロ!」

「どうしたカラドボルグ!冷静に敵を見ろ!」

指示を飛ばしながら、そっとボールを転がす
スクアーロとの戦闘に気を取られている今、トレーナーの方を叩く

あのキリキザンは明らかにおかしい
男の方を捕らえて組織に連れて行き、一度落ち着かせなければ話も出来ない故

ボールから静かに現れたゾロアークは幻影を振り撒き、辺りと同化する

そして音も立てずに男へ忍び寄る

「ふん...カラドボルグ、右を狙え。
よし、今だ」

男の指示通り、超速度の錯乱の中右から現れたサメハダーキリキザンの刃が捉え、叩き伏せる

だが、貰った...!!

「そして」

が、繰り出された不可視の爪を体を捻ってかわした男が不可視のゾロアークへ黒い銃のようなものを押し当てた

「それも見えている」

——ギュオッ!

ポケモン一体を軽々と押し流す熱線が銃より放たれ、ゾロアークを貫き、木々の間を抜けて遥か遠くの大木に吸い込まれ大爆発が起こる

「スクアーロ!!フロドゥーズ!!」

急いで二体をボールに戻すが、目の前に一瞬で踏み込んできたキリキザンに足を払われ、倒れ込んだところを刃を寸止めされる形で突き付けられる

「これで終わりだ。
名も知らぬトレーナーよ。では、死ぬと良い」

「えぇ、仕方がありませんね...って!」

——ギャオォォォォォッ!!

「.......!」

奇襲前に放っていたボール

我がポケモンの切り札ともいえる存在

“ヤツ”がボールを飛び出し、天に昇って吼えた

「破壊ポケモンイベルタル...!」

赤き身体に映える白のライン
異形染みた姿で大空に羽ばたく怪鳥の名はイベルタル

あらゆる命を奪うとされり伝説のポケモンにして我がパーティーの切り札だ

「薙ぎ払いなさい!フレスベルグ!」

喉元に刃を突き付けていたキリキザンも流石の事態に男の元へ移動し、共に退避する

と、放たれた“デスウィング”が私と男の間を薙ぎ払う

光線が命を奪い尽くし、木々の枯れていく光景を尻目にようやく距離を取る事に成功した

「あの者達を狙いなさい!」

「厄介な...!あれに触れずに接近しろ!
叩き落とせ、カラドボルグ!」

交戦している隙に念のためマニューラとオーロンゲを繰り出し、ようやく一息つく

戦況はこちらが優勢だった

さしものキリキザンもデスウィングを撃ちながら上空を舞うイベルタルには近付けず、攻撃をかわし続けているだけだ

森への被害が大変な事になっている為、後が非常に恐ろしいところなのだが

「貴方は!!」

「...む」

大声に気が付いた男が不快げにこちらを睨み付ける

「さっきから何故襲って来るんですか!貴方を助けた私が命を狙われる理由がわかりませんよ!」

「黙れ、トレーナーにかける言葉などない」

お話にならない
起きた時には向こうから話しかけてきた筈なのだが...

「貴様こそ俺に近付いて何をしていた?
大体は予想出来るが、大方都市の狗だろう。
俺を捕らえるつもりが当てが外れて残念だったな?」

「都市の狗...?」

私は組織の代理の長ではあるが、都市の使いになどなった覚えはない
大体都市に使いも何もあるまい
どんなブラックタウンだ

「意味がわかりませんよ!
私はただのトレーナーだといってるじゃないですか!」

「流れのトレーナーか?
どの道、ボールを持ってる以上言い逃れは出来んぞ。
貴様等は邪魔になる故殺す。それだけだ」

「トレーナーに恨みでもあるんですか!?」

「何を馬鹿な事を...
誰もが敵対するトレーナーに殺意を抱くだろう
己を棚に上げてな」

話が噛み合っていない
どこか致命的なズレを感じる

異様な強さのキリキザン
トレーナーに対し極度の殺意を露にする男

もしや...

「貴方は、ガラル地方を知っていますか!?」

「なに...?」

「貴方は、ウルトラホールを通ってきたんじゃないんですか!?」

歯車が噛み合った

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取り敢えず、余りにも酷い森から移動し、アジトの上の小屋へと男を招いた

「馬鹿な...別の、世界だと.......?」

男はブロウと名乗った
ズレに気付いた彼は、即座に殺気を収め謝罪してきた

正直あの惨状はそんなものでは済まないが、また敵対されるととんでもない事になるので今は一旦考えないようにしている

「えぇ。ウルトラホール自体は知っているんですよね?」

「あぁ」

ウルトラホール
アローラ地方で確認された時空穴
ウルトラスペースと呼ばれる別世界とこの世界を繋ぐエネルギーホールの事だ

異様な攻撃性や明らかにおかしい強さのキリキザンはよく知っている見た目であるという点を除けばウルトラビーストのそれに酷似していた

「確かに、意識を失う直前に青白い穴のようなものは見たな。
ウルトラホールの現物は見たことがない故それがそうなのかは解らんが」

「大方、間違い無いでしょうね。
貴方の世界の話には驚かされましたが...」

彼の世界では、ポケモンと人間は“大戦”と呼ばれる大規模な種族間戦争を起こして以来、捕獲出来なくなったらしい
つまりポケモンを所持しているトレーナーは犯罪組織等の開発したボールを使用している凶悪人物のみであり、全て敵であるらしい

彼自身が凶悪人物かどうかには触れないでおこう

「感謝する。命を狙った俺にこうも親切にこの世界の事情を説明してくれるとはな」

「まぁ、命云々は慣れてますからね」

主に組織関連で

「ほぅ?貿易会社の社長は命のやり取りに慣れるものなのか。覚えておこう」

「い、いえ、今のはナシで頼みます」

「クク」

立ち上がり、小屋を出て行く男

「おや、もう行くんですか?」

「あぁ、世話になったな。
後で恩は必ず返す」

彼はこの先の街へ行くらしい
一応、悪の“同志”が集まる場所を教えておいたので彼等ならよくしてくれるだろう

「ではな」

去って行く男

「やれやれ」

焼け焦げ、穴だらけで木々の枯れ果てた森の一角そこを見つめると思わず溜息が出る
アジトに近い以上放置する訳にもいかない

やはり、人助けなんて柄にも無い事をするとロクな事が起こらない
悪党は悪党らしく振る舞わんとな

この後の処理に頭を悩ませながら、私はアジトへと続く道を進んで行った

尚、しばらく後に“恩返し”とやらでまた大変な厄介事が起きるのを、この頃の私は知らない

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・・・。
今度は何?
キャラ設定云々の次は小説?
て言うか、何かこの話・・・

あぁ、これですか?

何か、ブロウさんが書いてくれました。

やっぱりまた、あのベジータ改め、パパか・・・。

何でも、あの時の事を私(ナギ)視点で小説風に書いたものだとか。

成る程ね。
道理で見に覚えがあるわけだわ。
にしてもまさか、あの人に文才があったとわね。
なかなかに驚きよ。

それは、私も思った。
何でも、本人曰く「俺は創造者だからな」
なんだとか。

(あの人も、この人に負けず劣らずあれね・・・)

うん?どうしました?

いや。何でもないわ。

まぁ、でも。
本当、いい感じに面白いですよね。

まっ、まぁ。
それはそうね。
読んでて、普通に引き込まれたわ。

本当、これは感謝ですよ。

もっとも。
"この時"は本当、死ぬかと思ったけどね。

うん。あの時は本当、ヤバかった・・・。

そもそも、別の世界から来たとか。
アルセウスと戦ってただの、あのツンデレパパ、チートも良いところよ!

まぁ、そもそも、世界も違うし。
戦争だとかヤバい事になってる、世紀末にいたみたいですからねぇ。

まぁ、でも。今はこうして友好的にやらせてもらえてますからね。
今は善しとしましょう。

まぁ、それもそうね。
出会いはあれでも彼に限らず、本当、皆好くしてくれてるものね。

ふむ。
幸いにも、私は善き仲間を持たせてもらいましたよ。

なら、せいぜい、その想いに背かないように頑張りなさい。

そりゃ、勿論です。

というわけで
今回はこの辺で
では

またのお越しをお待ちしております。